【SWELL代表:長崎勇平氏】BEN GENERALのポップアップストアに込めた想いとは
2023年1月23日から3月5日まで、渋谷の宮下パークで開催されたBEN GENERALのポップアップストア。手掛けたのは、株式会社SWELLの代表でありVMDとしても活躍する長崎勇平氏。
このポップアップストアは、野球とファッションの融合を掲げるBEN GENERALのブランドイメージを具現化したもので、多くの反響を呼びました。
今回は、長崎氏にこのポップアップストアに込めた熱い思いや、今後のBEN GENERALに対する期待や展望について伺いました。
打ち込んでいた野球との決別、ファッションとの邂逅
私がファッションに深い関心を抱き始めたのは、大学生活をスタートさせた頃でした。
子供の頃からずっと野球に打ち込んでおり、その夢を追い続けて大学に進学。しかし、そこで私は周囲の選手たちと自分との間にある技術の差を痛感したんです。
20歳を迎えた頃、自問自答の末、この道を歩み続けてもプロ選手にはなれないだろうという結論に至りました。
アルバイトで貯めたお金を使って服を購入し始め、次第にファッションの世界に夢中になっていったのはその頃のことです。
アパレルの魅力に強く引かれ、卒業後はある大手アパレル会社への就職を決めました。最初はVMD部門ではなく、営業担当としてキャリアをスタート。
会社で様々なプロジェクトに携わるうちに、VMD部門での仕事にも関わる機会が増えてきました。それは、私にとって新たな挑戦であり、大きな転機となりました。
VMDとしての新たな挑戦
その企業において、私は長らくプレイヤーとして活動。ブランド担当として、売上を伸ばすことが主な仕事でした。
30歳の頃にはマネージャー職への昇格の打診を受けたのですが、当時の私はまだ現場で活躍することに強い意欲を持っていました。
プレイヤーとしての成果を重ねることで、それに応じたライフスタイルの変化を望んでいました。私の働き方と企業の方針との間に徐々に乖離が生じてきたことで、結果的に現在の株式会社SWELLの設立に至ります。
新会社を立ち上げた当初は、休む暇もないほど忙しく働いていました(笑)。アルバイトスタッフを雇用しながらも、だいたい1年間はそのような状況が続いていたかな。
今思えば確かに大変な時期でしたが、それでも大きなやりがいを感じることができました。
VMDの目的は「利益を生み出すこと」
VMDの根底にある最大の目的は、クライアントの利益を最大化することにあります。
一般的にVMDは、芸術的あるいは美術的な職種と捉えられがちですが、実際には販売促進や売上向上を目的とした業務です。
そのため、私たちは「商品を購入した顧客が幸福感を持って帰る」ことを重要視しています。
「売上」という単語を使うと、金銭的な側面が強調されがち。しかし、私たちの真の目標は、顧客に商品を購入してもらい、それによって幸せになってもらうことだと思います。
お客様が商品を購入した後に、「明日これを着用するとどんな素敵なことが起こるだろう?」といった期待感や興奮を感じていただけることが大切かなと。
VMDという仕事を通じて、そのようなワクワク感に満ちた空間を創出することを心掛けています。
野球からスタートしたBEN GENERALとの取り組み
以前勤めていた会社の野球部に所属していた頃、ある試合でバンバータというチームと対戦したことがあるんです。
このチームは、元プロ野球選手や実業団選手、アナウンサーといった非常に豪華なメンバーで構成されていたんですが、アップの様子からして既に私たちとは一線を画していました。
特に印象的だったのは、長身左腕のピッチャーの投げる驚異的な球でしたね。彼の前に、私たちのチームは完全に敗北してしまいました(笑)。
その試合の悔しさからバンバータについて調べていたところ、amadanaの熊本社長に行き着いたんです。もともと熊本社長のことは知っていたので「こんなこともやってるんだ、すごいな!」と感心しましたね。
さらに、熊本社長と私は共に宮崎出身ということもあり、すぐに意気投合しました。
その後はSNSで情報交換を行い、BEN GENERALが動き出すタイミングで熊本社長から連絡をいただいたことで、ポップアップストアの取り組みが動き出していきました。
まるで自分のガレージに野球の道具を並べているような空間を
BEN GENERALが提唱する「アーバンスタイルベースボール」という、ベースボールライフを豊かに彩る文化を体現するため、ポップアップストアの設計に取り組みました。
このプロジェクトのコンセプトは、まるで自宅のガレージに野球の道具を並べたような、親密ながらもパーソナルな空間を創出することでした。
予算に頼るのではなく、創造的なアイデアと工夫に重点を置き、訪れる人々にワクワク感と新鮮な体験を提供する世界観を意識しました。
今後の野球業界やベースボールブランドに対する思い
現代において、野球に関するプレイヤーや指導者のマインドセットは大きく変化してきているでしょう。
この流れの中で、BEN GENERALは野球をスタイリッシュなものとして位置づけるブランドであってほしいと思っています。
日本において、伝統的に野球は「オシャレ」というイメージからは距離があるとされているのが実情です。
ですが一方で、アメリカでは野球関連のアイテムがファッショナブルな要素として受け入れられ、日常的に街中で着用されています。
日本ではこのような光景はまだ珍しいですよね。
スポーツメーカーはもちろん、スポーツ業界全体がよりファッション性を重視すべきだと考えています。その一環として、BEN GENERALが街中でも快適に着用できる洗練されたアイテムを、次々と生み出していくことを期待しています。
BEN GENERALのアプローチによって、野球とファッションの新たな融合を目指し、日本における野球のイメージをより新しいものにできるのではないかと思っています。